嗅覚の病気

嗅覚って病気になるの? 嗅覚障害とは? あまり聞かない嗅覚の病気のこと。
少しだけ考えてみませんか?

ニオイを感じないのは病気!?

嗅覚の役割

嗅覚障害という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

視覚障害や聴覚障害と同じ、感覚器障害のひとつです。

視覚障害や聴覚障害と言われると、どういうものかイメージがわきやすく、その大変さもわかる気がします。

それに比べて、ニオイの感じ方はもともと人によってばらつきがあり、嗅覚障害って何が問題なの?と軽く思われがち。

でもちょっと待って!嗅覚の異常は、様々な病気や加齢のシグナルの可能性があるのです。

嗅覚障害の種類

嗅覚の役割

嗅覚の障害と言っても、ニオイが全く嗅ぎ取れなくなってしまうものから、するはずのないニオイを感じてしまうもの(異臭症)まで様々です。

また、嗅覚と味覚は密接な関係にあるので、ニオイがしなくなると味がわからなくなる、ということも起こります。

風邪をひいていると、料理の味がわからなくなった経験は、誰しもが持っているのではないでしょうか?

こうした嗅覚に関する病気で、発生の割合が一番多いのが、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎といった鼻の病気です。

花粉症でニオイがわからない……などという症状も、もちろんこれ。

また、風邪が治ったあとから、ニオイの感覚がなくなってしまうこともあります。

この症状には『感冒後嗅覚障害』という名前がついていて、内視鏡で鼻の奥まで診察しても異常が見つからないのに、ニオイがしなかったり、するはずのないニオイを感じてしまうという状態です。

この障害にかかると治療に1年以上かかることも。

漢方薬などを使うことによって、現在では罹患者の7割程度は治るようになってきていますが、ニオイがしなかったり異臭がする状態が1年も続くと、生活の様々なところに影響が出てきてしまいます。

嗅覚障害には上記の例以外に、さまざまな要因により、嗅神経に異常が出ている場合もあります。特に、加齢に伴う嗅覚障害は、高齢化社会が加速するにつれて、注目されている問題です。

嗅覚も老化する

嗅覚の役割

嗅覚も年を重ねるにつれ、視覚や聴覚といった他の感覚器と同様に衰えていきます。

これは、嗅覚細胞のターンオーバーが衰えてきて、細胞の数が減ってきてしまうから。

そのため高齢者になると、ガス漏れに気づきにくかったり、腐った食べ物を食べてしまったり、といった、嗅覚の問題が二次被害につながるケースも多くなります。

ちなみに、80歳以上の高齢者の3/4が、嗅覚に障害を抱えているとも言われています。

嗅覚と病気の早期発見

嗅覚の役割

ニオイは、鼻が感じ取った化学物質を、脳で識別しています。

そのため、脳に外傷を受けた時や脳内部に障害が起きた時にも、嗅覚に異常が発生することがあります。

最近では、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患が原因となって嗅覚に障害が出るという研究が進み、これらの病気の早期発見のためにも、嗅覚が重要視されるようになってきました。

嗅覚に異常を感じたら、たかがニオイと軽くとらえず、きちんと病院を受診することが大切です。