ニオイコラム

ニオイがわかるのは、なぜ? 今さら聞けない『嗅覚』の秘密にせまります。

いろはにほへと

2018年8月7日

十二単

いろはにほへと

色は匂へど 散りぬるを                  いろはにほへと ちりぬるを

我が世誰ぞ 常ならん                     わかよたれそ つねならむ

有為の奥山 今日超えて                  うゐのおくやま けふこえて

浅き夢見じ 酔ひもせず                  あさきゆめみし ゑひもせすん

いろは坂

 

「におう」の本来の意は?

皆さんが良くご存知、いろは歌。その冒頭から「におう」の意味について紐解いてみましょう。

 

いろは歌で使われているように、「匂う」は元来、嗅覚に関する言葉ではありませんでした。

「にほふ」の「に」は「丹=赤い色」、「ほ」は「秀=際立つ」ということでした。つまり際立って赤く色づくことが「匂う」だったと考えられています。それが転じて良い香りが際立つという意味になったのです。

 

また、漢字の「匂」は中国伝来のものではなく、中国文字をヒントにして作られた和製文字と言われています。

赤

源氏物語における匂いの記述

作家の紫式部よって描かれた平安時代の物語である源氏物語には、「沈香、白檀などを十二単衣に焚き込んで・・・」といった奥ゆかしいニオイの世界が登場します。

空蝉を求める光源氏は、空蝉の匂いが染みついた衣を持ち帰り、空蝉を思いながら抱きしめます。その衣は空蝉の元へ返ってきたとき、衣には光源氏の匂いが染みついているのです。

 

さらに源氏物語の後半では「薫の君」や「匂宮」など匂いを連想させる主人公がでてきます。

昔の日本人の匂い感覚の重要度の高さや感性の豊かさが伺えますね。

十二単

参考図書

著書名                著者             出版社

興奮する匂い 食欲をそそる匂い 新村芳人 株式会社技術評価社
嗅覚とにおい物質 川崎通昭・堀内哲嗣郎 社団法人におい・かおり環境協会
香料の科学 長谷川香料株式会社 講談社

 

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