嗅覚研究室

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「臭気判定士」とは

2021年10月21日

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においに関するテレビ番組などで「臭気判定士の〇〇さん」といった形で目にすることがあるかと思います。この「臭気判定士」とは何でしょうか。これから臭気判定士についてのお話をさせていただきます。

臭気判定士とは

臭気判定士は、1996年(平成8年)に創設された国家資格です。法律的には「臭気測定業務従事者」という名称ですが、ここでは「臭気判定士」でお話しさせていただきます。
悪臭防止法による規制方法には、硫化水素などの化学物質によるものと「臭気指数」という嗅覚によるものがあります。臭気指数は、臭気をどの程度薄めればにおわなくなるかを6人以上のパネルの嗅覚で測定する方法です。写真1に臭気指数測定の状況を示します。
臭気判定士は、この臭気指数を測定するにあたって試料採取、測定、測定結果の算出等を管理する資格です。したがって嗅覚が特段に優れているわけではありません。

臭気指数の測定状況

臭気指数の測定状況

試験内容

臭気判定士は、国家資格ですので取得には試験を受ける必要があります。
受験資格は、試験日に18歳以上であること以外、特に制限はありませんが、筆記試験の合格に加えて嗅覚検査に合格する必要があります。
筆記試験は、以下の5科目で問題合計数は44問になります(2020年度の試験)。

表2

上記の内容の筆記試験は、年に1回例年11月に東京、愛知、大阪で実施されています。
合格率は、20%~30%程度です。
また筆記試験の他、臭気指数測定に適した嗅覚を確認するため、嗅覚検査に合格する必要があります。この嗅覚試験は、5種類の基準臭(第一薬品産業(株) パネル選定基準濃度セット)を嗅ぎ分けることができて合格となります。写真2は、嗅覚検査の状況です。
筆記試験、嗅覚検査に合格し、資格申請し取得となりますが、取得後も5年に1回、嗅覚検査を受検し更新することが必要です。

嗅覚検査の状況 (左側の人が被験者で右手に持ったにおい紙の先端に基準臭が付いています。)

嗅覚検査の状況
(左側の人が被験者で右手に持ったにおい紙の先端に基準臭が付いています。)

臭気判定士の活躍

臭気判定士は、現在約3,200人(2019年度現在)います。資格の目的が臭気指数の管理ということで、環境分析に関する業務に就いている人が多く取得しております。ただ、におい関する唯一の国家資格でもあるため、環境分析以外にも消脱臭、測定機器、食品、畜産などにおいに関係する多岐の分野で臭気判定士は活躍しています。

監修者プロフィール

執筆者

氏名:諸井澄人
資格:臭気判定士、環境計量士(濃度)
におい・かおり環境アドバイザー
(公益社団法人におい・かおり環境協会 協会資格)
所属:株式会社 環境管理センター におい・かおりLab
環境分析分野を中心に臭気業務に携わり、25年以上になります。通常の臭気指数測定のほか、製品の臭気等各種の臭気試験にも携わってきました。

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