ニオイコラム
ニオイがわかるのは、なぜ? 今さら聞けない『嗅覚』の秘密にせまります。
ニオイの快不快は人それぞれ
2018年11月19日
誰にでも不快な、絶対的な悪臭はない?
アメリカで、人間を死に至らしめない武器の開発が進められておりました。その名も「におい爆弾」。開発に向けて、すべての人に普遍的に嫌悪感を生じさせるニオイ物質の探索が行われました。
様々な不快と言われているニオイ(体臭・糞便臭・吐物・獣の死体など)を、様々な文化や人種の人々に対して嗅いでもらったようですが、絶対的な悪臭を特定することはできなかった、というのです。
納豆のニオイは悪臭か?
不快なニオイとして有名な“イソ吉草酸”というニオイ成分があります。蒸れた靴下、と表現されることの多いニオイ成分ですが、多くの人にとってあまり嗅ぎたくないニオイですね。
ところが、このイソ吉草酸は納豆のニオイ成分でもあるのです。納豆が好きな人にとってはそれほど不快なニオイというわけではないかもしれません。つまりニオイの快不快は個人差があるのですね。
ニオイの快不快に個人差があるのはなぜ?
ニオイの快不快は人それぞれである、ということは皆さんもご経験からも感じられていることだと思います。それでは快不快の個人差とはどのようにうまれるのでしょうか。
個人差の要因としては、個人が生まれ育った自然環境、文化的環境、体験、先入観、嗅覚能力の低下などがあげられる、と図書に記載されています。
例えば、魚や海藻から抽出されたニオイに対して、海があった環境で育った人は海苔を連想し、海がなかった環境で育った人は下水や腐敗物を連想します。同じニオイでも後者の方が臭いと感じるでしょう。
同じくイタリア人がよく食べるブルーチーズは、日本人は苦手な人が多いですが、これも育ってきた環境による影響が大きいと考えられます。
ニオイの快不快は人それぞれだから・・・
ニオイの感じ方や受け取ったイメージは人それぞれです。自身が良い!と思ったニオイが他人も好きとは限りません。と同時に、自身が嫌なニオイだな!と思っても、相手にとってはそれほど気にしていないこともあります。
ニオイは相手に伝わってしまうものだから、相手を気遣うとともに、相手を許容するということが大事なのではないでしょうか。
参考図書
においの心理学 | 綾部早穂 斉藤幸子 | フレグランスジャーナル社 |
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