ニオイコラム
ニオイがわかるのは、なぜ? 今さら聞けない『嗅覚』の秘密にせまります。
魅力的な香り:麝香(じゃこう・ムスク)
2020年6月23日
麝香(ムスク)を抜きにして香料を語ることはできないでしょう。麝香は今も昔も最も希少で高価な香料の一つです。
麝香はジャコウジカの香嚢(こうのう)と呼ばれる部位から採取される動物性香料です。天然の香料は植物性と動物性に分かれ、植物性の香料はたくさんの種類がありますが、動物性の香料は、麝香(ムスク)、霊猫香(シベット)、龍涎香(アンバーグリス)、海狸香(カストリウム)の4種類しかありません。
香嚢(こうのう)はオスのみが持ち、繁殖期に分泌されることからオスがメスをおびき寄せるためのフェロモンだと考えられていますが、詳しいことはわかっていません。
香嚢(こうのう)そのもののニオイは心地よいニオイ、とはいかないようです。工程を経ていくと、甘くて官能的ニオイがするそうです。
このようにとても貴重で魅力的なニオイがすることから、過去には、1㎏あたり800万円というとても高価な値が付けられていました。
数多くのジャコウジカが麝香を採るためだけに殺されました。乱獲により個体数が激減し絶滅の危機に瀕しています。現在はワシントン条約により麝香の取引は禁止されています。
最後に、少し話は変わりますが、この記事のトップ画像がマスクメロンなのでしょうか。マスクメロンとムスクはとても深い関係があるのです。
マスクメロンのマスクとは何でしょうか?mask(仮面)でしょうか。マスクメロンのマスクはmusk(ムスク)であってmask(仮面)ではありません。マスクメロンの香りは麝香とは異なりますが、強い香りがするメロンという意味で麝香の名が使われているのです。ここからも麝香が香りの代表であることがうかがえますね。
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