嗅覚研究室
嗅覚のなぜ?を徹底研究!カグー博士の日々の研究をこちらで報告します。
味覚と嗅覚はとても仲良しだけど、かなり違う
2019年12月9日
五感の中でも特に関係の深い「味覚」と「嗅覚」。この2つの感覚はとても関係が深いけれども、実は結構異なる点が多いのです。それぞれの特徴を見てみましょう。
検知閾値が違う
検知閾値とは、聞きなれない言葉かもしれませんが、簡単に言うと、感じることのできる濃度のことです。
味覚はppmという単位で100万分の1より濃い濃度で感じます。それだけでも十分薄い濃度と感じるかもしれませんが、嗅覚はppb(10億分の1)やppt(1兆分の1)といったとっても薄い濃度でも感じることができます。さらに調香師のように訓練を積むと、何十、何百種類のニオイを嗅ぎ分けることもできるようになります。人間の鼻ってすごい能力なんです。
分子が違う
ニオイ分子は疎水性といって水に溶けにくい物質が多いのですが、味分子は親水性といって水に溶ける物質が多いことが、特徴の違いとして挙げられます。
距離が違う
味覚は口に入れないと味が分からないように、接触性の感覚と言えますが、嗅覚は接触しなくても目に見えなくても、判断することができます。それは、敵か味方か?餌かどうか?危険か安全か?など遠くから見分けることができるという利点があります。
受容体の数が違う
感覚として感じるためのセンサーとして働く受容体の数が違います。味覚は30数種類ですが、嗅覚は私たち人間で約400種類、他の動物ではもっとあり、とても多いことが分かります。そのためか、味には基本味(酸味、甘味、苦味、うま味、塩味)があるのに対して、嗅覚には基本臭と呼ばれるものは、過去様々な説がありましたが、現在はないと考えられています。
「味覚」と「嗅覚」はとても深い関係にあるのに、調べてみると異なる感覚であることが分かると思います。このように比較してみると、ますます嗅覚に興味がわいてきませんか?
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