嗅覚研究室

嗅覚のなぜ?を徹底研究!カグー博士の日々の研究をこちらで報告します。

嗅覚トレーニングの方法

2022年10月7日

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「嗅覚トレーニング」とは嗅覚刺激療法とも呼ばれ、ニオイを嗅ぐことで嗅覚にかかわる神経細胞を刺激し、嗅神経の再生を促す効果を期待する、というものです。

ヨーロッパのグループを中心に、ニオイ刺激を用いたリハビリテーションが一部の嗅覚低下の改善に有用であるとの報告があります。

ここで、“一部の”と書いているのは訳があります。
嗅覚障害の原因は副鼻腔炎や感冒(風邪)、アレルギー性鼻炎など様々な疾患によりますが、その中でも感冒後嗅覚障害と外傷性嗅覚障害といったいわゆる嗅神経が原因となる嗅覚障害に、嗅覚トレーニングが有用であるとされています。

では嗅覚トレーニングは具体的にはどのように行えばよいのでしょうか。

ドイツで行われた嗅覚刺激療法のやり方は以下の通りです。

嗅覚トレーニングの方法

ドイツの研究で行われたのは
4種類のニオイを、朝晩1日2回、10秒ずつ嗅ぐというものです。

感冒後嗅覚障害や外傷性嗅覚障害の患者さんにこの嗅覚トレーニングを行ってもらったところ、いずれも4ヶ月続けると約25%、8ヵ月続けると約40%の人に嗅覚の改善がみられた、と報告されています。
また、嗅覚トレーニングを行うことで、嗅覚の低下を予防できたという研究報告もあります。

嗅覚トレーニングのポイント

嗅覚トレーニングのポイントは3つあります。

1.意識して嗅ぐ
ニオイがわからなかったとしても、「これはパンのにおい」とか「これはコーヒーのにおい」とか、嗅いだものが何かを意識して嗅いでみてください。

2.短い時間、頻回に、毎日嗅ぐ
ニオイは長時間嗅げばよいというものではないそうです。長時間嗅ぐよりも、短い時間でも、頻回に、毎日続けることが大切です。

3.何種類ものニオイを嗅ぐ
何か1種類のニオイを嗅ぎ続けるのは、嗅覚トレーニングとしておススメできません。同じニオイを嗅ぎ続けると、鼻が慣れてしまい、においの刺激が少なくなってしまいます。新鮮な刺激を嗅神経に届けるために、色々なニオイを嗅ぎましょう。

嗅覚トレーニングはすぐに効果が出るものではありませんので、根気強く、続けてまいりましょう。

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