ニオイコラム
ニオイがわかるのは、なぜ? 今さら聞けない『嗅覚』の秘密にせまります。
ニオイの感じ方は人それぞれ
2019年2月21日
ニオイの感じ方は人それぞれです。
日常生活の中で、良く鼻の利く人、ニオイに鈍い人がいることも良く経験します。また同じ人でも、風邪などの体調や気分の変化、過労や睡眠不足など、様々な要因によってニオイの感じ方がかわることがあります。女性であれば、月経周期がニオイの感じ方に変化を及ぼすことも分かっています。
ニオイの感じ方の変化について、問われることの多い、「加齢」・「男女差」・「タバコ」との関係についてお話しいたします。
ニオイの感じ方に年齢は関係するの?
嗅覚も他の感覚と同じように、年齢を重ねるにつれて、その能力は低下していくことは事実としてあります。しかし、目が悪くなったり、耳が遠くなったりするほど、嗅覚の低下は自覚症状が少なく、あまり不便にも感じていないと思われます。
加齢とニオイに関しては様々な研究があります。その多くは、60歳を境に嗅覚の低下が見られるというものです。50歳、65歳を境とする報告もあります。しかしそれは、何のニオイか判定する能力(認知)が低下であってニオイを感じる能力(検知)の変化はあまりありません。
興味深いのは、海外の研究ですが、高齢の調香師の嗅覚能力を調べたところ、その能力は全く衰えていなかったという報告もあります。嗅覚はいつでも鍛えられるということでしょうか。
男女差はあるの?
嗅覚能力の男女差については、女性の方が少し上である、という報告が多いですが、優位な違いはない、という報告や男性の方が高いとする報告もあり、それほど大きな差はないと考えられています。
加齢で嗅覚能力は男女とともに低下しますが、低下の割合は男性の方が大きいという報告もあります。
タバコとの関係は?
タバコとの関係については諸説あり、喫煙は鼻の感度を良くするという俗説も流れて愛煙家を喜ばせた事もあったほど。結局のところどうなのでしょう?
喫煙者は非喫煙者に比べて、嗅覚能力が落ちていたという報告があります。ニオイの種類にもよりますが、喫煙は良くはない、とは言えるかと思います。
ニオイを意識することが大事
ニオイの感じ方の変化については、加齢に伴い、多少落ちてくるものの、男女差や嗜好などあまり差はないように思われます。
それよりも個人差の方が大きいと感じます。その個人差とは、“意識してニオイを嗅いでいるかどうか”によるのではと考えています。
嗅覚は人生を豊かにする感覚です。生活の中にたくさんあるニオイを意識的に嗅ぐことでニオイの感覚を鋭くして、豊かな生活を送って頂きたいと思います。
著書名 |
著者 |
出版社 |
嗅覚とにおい物質 | 川崎通昭 堀内哲嗣郎 | におい・かおり環境協会 |
においの心理学 | 綾部早穂 斉藤幸子 | フレグランスジャーナル社 |
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